『潜夫論』を読んでみよう−実辺篇その2

http://d.hatena.ne.jp/T_S/20140921/1411228720の続き。



又放散錢穀、殫盡府庫、乃復從民假貸、彊奪財貨、千萬之家、削身無餘、萬民匱竭、因隨以死亡者、皆吏所餓殺也。其為酷痛、甚於逢虜。寇鈔賊虜、忽然而過、未必死傷、至吏所搜索剽奪、遊踵塗地、或覆宗滅族、絶無種類、或孤婦女、為人奴婢、遠見販賣、至今不能自治者不可勝數也。此之感天致災、尤逆陰陽。
(『潜夫論』実辺第二十四)

また更に倉庫に蓄えられた金銭や穀物を使い果たすと民より借り受け、財産を強奪したため、馬車千台を用意できるような大金持ちでも余分な財産が無くなってしまい、多くの民は財産を失い、死んでしまうまでに至っている。



これは皆官吏が餓死させたようなものである。




この残酷さは羌に遭遇するよりもヒドい。




羌に遭遇して略奪を受けるのは一瞬であり、必ずしも死傷するとは限らない。



だが官吏が財産を捜索して徴発していき命を落とし、しまいには宗族全体が滅び血族が残らない事態にまでなり、あるいは婦女が孤立して奴婢に身を落とすしかなくなり、遠くに売られてしまうようになって自力で生活できなくなった者は、数えきれないほど多いのである。



これがために天も感応して災異をお越し、陰陽の調和も狂っているのだ。




相変わらず、全編に(憤怒)というカッコ書きが入りそうな文面である。



ここでは羌よりも官吏の苛斂誅求の方が酷いのだ、とまで言い切っている。




まあ、こんなことが常態であったとしたら、それを直接知る者は後漢王朝を素直に信じることはできないよなあ。