聖人

聖人者何。聖者、通也、道也、聲也。道無所不通、明無所不照、聞聲知情、與天地合徳、日月合明、四時合序、鬼神合吉凶。
禮別名記曰、五人曰茂、十人曰選、百人曰俊、千人曰英、倍英曰賢、萬人曰傑、萬傑曰聖。
(『白虎通』聖人)


後漢の『白虎通』には、「聖人」の定義が記されている。


「道は通じざる所無し」など、まさに万能、究極の存在であることが記される。
また、後半部はつまり「五人に一人の存在が茂、十人に一人が選」ということなんだと思われるが、「聖」とはつまり一万人に一人の「傑」の、更に一万人に一人ということらしい。10,000×10,000ということは一億である。
一億人に一人という存在ということになる。

漢代で言えば戸籍人口が一億になったことはないので、一時代に一人もいないかもしれない、ということだ。


またこのランク付けにおいて、「聖」以上のランクは無い。「聖人」というのはおよそ人間の格、能力を表現する上で最上級の称賛なのである。

漢書』古今人表でも最上級の人間を「聖人」と規定しており、三皇五帝の時代から漢以前までの長い間に十数人しかいない。
しかも三皇五帝や各王朝の創始者、そして孔子といった面々である。
当時の「聖人」がどういう存在かイメージできるのではないだろうか。